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ゼロカーボンに向けて地域ができること

 「美麻地域のエネルギーを考える会」が主催する、座談会『官民協働による里山・地域材利活用』に参加してきました。(山仕事創造舎は今回、後援をさせていただきました)

 

 色々と興味深いお話を聞くことができたので、当日の内容をレポートしたいと思います。

 

 座談会に先立ち、まずは信州大学人文学部 茅野恒秀准教授による講演会がありました。講演会のタイトルは「地域主導による再生可能エネルギーの推進」。

 

 ここ最近の世界、国内、長野県のゼロカーボンに向けた取り組みや政策の紹介があり、それを受けて地域ではどのような変化が求められているのか、市町村や各地域で取り組むべきことについて、広い視点から分かりやすくお話ししてくださいました。

 

 

 気になるキーワードとしては・・・

 

○世界、国内でゼロカーボンに向けての取り組みが進められている中で、「長野県ゼロカーボン戦略」の事業計画、その網羅的な計画内容は国内で唯一のもの

 →長野県ゼロカーボン戦略(リンク) 事業計画が一枚にまとめられた【概要版】は必見!

 

○世界水準で明瞭になりつつある必要な変化

 (1)必要最小限のエネルギー使用で済むライフスタイル、ビジネススタイルへの転換

 (2)化石燃料由来のエネルギー源を自然由来のもの(太陽光、水力、木質など)に切り替えていく

 (3)(1)(2)を可能にするインフラ整備

 

○世界的に影響力の大きいIEA(世界エネルギー機関)の「Net Zero by 2050」によると、"すでに市場へ投入されている"技術の利用拡大が、"実用段階や開発段階の"技術よりもCO2排出削減効果が圧倒的に大きい

 →◎電化の推進が効果大 太陽光、風力、EV

 →△水素や新技術は効果薄

 

○千葉大学と環境エネルギー政策研究所による「永続地帯2020」調査によると、大町市は、市内で必要な電力量の114.2%を市内の再生エネルギーで発電できている

 →水力発電(集計で黒部ダム等の大規模ダムは除いている)が多いからか…。

 →したがって、大町市の取り組みのポイントは、電力よりも「熱」かもしれない(世帯当たりのエネルギー消費としては「暖房」「給湯」「厨房」が約6割を占める)

 →永続地帯データサイト(リンク)

 

というものがありました。

 

 また、講演会の後の座談会では、長野県、大町市の職員の方、白馬で創意工夫の詰まったサステナブルな宿「イルボスコ」を経営されている宗川さん、エネルギーを考える会の渡辺さん、茅野先生のあいだで、意見交換が交わされました。

 

 

 それぞれの主体が思いを持って、地域材の利活用などの環境に配慮した活動がなされている中で、それらの取り組みを連携させる仕組みづくりが、今後の課題となりそうです。

 

 その手掛かりとして、まずは、現状の分析(何ができていて、何ができていないのか)、例えば美麻地区でエネルギーの観点から集落点検を実施する(官民連携で)のが良いのではないか、

 

また、これからの取り組みについて、ある程度やるべきことは見えてきている、アイディアもある(全国では学びとなる様々な取り組み事例もある)良い状況になっているので、次は、現状分析とともにより実践的な活動につながるワークショップを開催すればいいのでは、という茅野先生のお話がありました。

 

 当日の様子が、↓で記事にもなっています。

 <長野・大町で座談会 里山の持つ可能性で地域課題を解決する取り組み共有

 

【お知らせ】「おだやかな革命」上映会 in 長野県大町市

 11月14日、“自然エネルギーによる地域再生”を題材にしたドキュメンタリー映画「おだやかな革命」の上映会があります。主催は、美麻地域のエネルギーを考える会です。詳細は↓をご覧ください。

 <「おだやかな革命」上映会 in 長野県大町市